海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
遺跡 町の考古学 奥川弘成
 水路に堆積した99%が鉄分であった「そぶ」を使い鉄ができるのか。
 湧き水の周辺に姿を現す「そぶ」。それが湧き出る水路や側溝をみていくと勢いよく水が流れるところでは周辺が赤く染まっているだけで「そぶ」を採集することは困難です。
 場所によっては水を止める堰があったりすると水のよどみができます。そこでは、藻のように浮遊した白黄褐色の「そぶ」を見ることができます。それは、周辺の草にまとわりつき、密度を増してくると赤身を帯びた固まりとなってきます。それが何層にも重なり、地表に現れているところでは赤黒い土となります。
 このようなところでは、まるで泥炭でも掘っているかのようにスコップで掘り出すことができます。
 ただ、掘り出すときに汚れてもよい服装でないと後が大変です。泥跳ねのように付着する「そぶ」は酸化鉄の粉ですから服に付着して染みになりやすいのです。
 泥大島という染物がありますが、染色の媒染剤として土に含まれる鉄分を利用しているといいます。そこで染色の勉強をされている方が「そぶ」を使って染物をしたことがあります。結果、そのままでは難しいので少し手を加えたほうが良いとも。その後は進展はしていません。
 また、陶芸家の方にも「そぶ」の利用をもちかけてみました。鬼板を擂って鉄釉としたといいますから「そぶ」でもできないはずはないと考えたのです。
 さっそくこれをもとに天日茶碗に仕上げていただきました。ソブ茶碗として今も大切に使っています。
 話題が少しそれますが、鮫肌の陶器の袖薬には火山灰が使われているといいます。常滑市大谷から美浜町布土にかけて大谷火山灰層が堆積しています。
 それは、白土ともいわれ明治、大正昭和と当地、特に美浜町布土の経済を支えた磨き砂です。今では、個人的な利用で使っているにすぎませんが、先だって採集する機会を得ましたのでさっそく汚れた鍋を洗いました。今、一番の利用法は油で汚れた手を洗うことです。まだまだ利用価値がありそうです。
 磨き砂は、粘土と同様に掘り尽くしてしまえばなくなる限りある資源ですが、「そぶ」は湧き水の口からあとからどんどんと生まれてくる無限の資源にみえてきます。
 採集した「そぶ」には、草の根がありますから、バケツに水を張って中で草をふぐって取り除きしばらく置いておくと「そぶ」が沈殿してきますから上澄みを除きます。ザルに新聞紙をひき、沈殿した「そぶ」をあけて日照りで乾燥させます。
 よく乾いてくると赤黄色のパウダーとなります。風が吹くと飛んでしまいますから、風のないところに置きます。