海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

カッコいい女!

 この人の好奇心には、筋金が入っている。俳優の夏木マリさんは、好奇心が洋服を着ているようなところがある。ご本人も「好奇心という心の声を聞いてきた。好奇心こそ、私に与えられた貴重な才能」と言う。
 「チャンスという宝石を拾わないともったいないでしょ」「チャンスは、寸暇を惜しまずアンテナを張ってつかむものよ」「偶然を必然に変えなくちゃ。運命は作るものよ」とこともなげに言われると、そんなものかなぁと、だんだんその気になってくる。
 「苦手なことでも、誠実に時間を使っていくと受け入れ体勢が出来るもの」「自分に挑戦する孤独が、その人を成長させる」 こうまで言い切られると、「カッコいい!」と大向こうから声をかけたくなるのだ。

 『絹の靴下』から30年たった。歌手としての20代は、贅沢ざんまい、金銭感覚ゼロの快楽至上主義で、「いや〜な感じの芸能人だった」と自嘲する。そんな生活からの脱皮、虚飾からの脱皮が出来た理由の一つに、ブロードウェイを見たことがあげられる。舞台で見た輝く鍛えられた肉体を目の当たりにして、衝撃を受けた。と同時に、「自分も頑張ればああなれるかなぁ」と思った。ダンス、発声、演技を、徹底的に修業した。いつもいつも自分の表硯に納得いかないから、続けてこられたと振り返る。今では、汗で化粧が落ちた顔も、決して細くない足も、ハスキーな声も、みんないとおしいと思える。やりたいことをやって清々しく生きたいと思う。

 この夏、兵庫県淡路島の断食道場へ出掛けた。このところ、年に一回は、体と心を綺麗にしたくなるからと、断食道場に通っている。
 淡路島の断食道場は、全国初のメディカル・ファースティング(医学的絶食療法)の公
的専門施設なので、医師の管理下で取り組める安心感がある。入門コースなら、一過間の滞在期間の半分がファースティング。あと半分が、回復食。参加者同士で雑談する時間もある。ここにいると、ストレスが解消され、心が元気になるという。空腹感を超越すると、自然の息吹を感じ取れるようになれる。あたりまえのことに感激出来る人になれる。
 自分の体の手入れは、自分の責任と、メンテナンスを怠らない。筋トレ、ウォーキング、マッサージ、エステ、バスタイム…、様々なことを試みている。

 新しい自分に出会う場所

 歌手から俳優に転じてからは、個性的な演技で注目を集めた。そのファッションやライフスタイルに、女性たちの熱い視線が集まっている。
 最近の夏木マリさんを語る上で、避けて通れないのが、『印象派』と名付けた一人舞台。サロンのアカデミックな画家たちに対抗した印象派の画家たちにあやかって名付けた。

 企画・構成・演出も一人で手掛ける。子どもが、人を意識せず絵を描くような気分で取り組んでいる。舞台では、手で触れるものと格闘したいと、日常空間でよく使うものを大道具小道具にする。2トンのリンゴを使い、その上を転がり回ったこともある。漁師の使う網の中を魚のように動き回ったこともある。彼らは、圧倒的な存在感を持っている。もの言わぬだけに存在感がある。
 彼らを相手役にして、違う自分、新しい自分に出会う場にしたいと考えている。『印象派』は、役に近づくというより、いかに自分に近づくかという実験の場なのだ。頭で考えるものではなく、体感するものだと、自分の体と声、そのエネルギーを出し切って表現している。いわば自己表現の限界に挑戦するアスリートのようでもある。『印象派』は、私のコロシアム(競技場)という。『印象派』を始めたことで、目標と意志と情熱を与えられ、虚飾を捨て去ることが出来た。
 93年にスタートして、これまでに7回こなしてきた。2年後にファイナルを予定している。

 最近、声の仕事が気に入っている。
 『千と千尋の神隠し』の湯婆婆(ゆばあば)の声は、はじめ誰だかわからなかった。すごみのある「だま〜れ!」を聞いても、夏木さんの顔が思い浮かばなかった。宮崎駿監督に、『印象派』のビデオを送って売り込んだそうだ。
 声の仕事には、顔が映らない解放感がある。しかし顔が映らない分、ニュアンスや雰囲気だけで許されるようなあいまいな表現は出来ないという厳しさもある。
 究極の目標は、舞台に存在しているだけで、演技していないみたいと言われることだ。大袈裟なことを何もしないで、メッセージを伝えられたらいいと思う。「そのためには、旬の私、今の私としっかり付き合いたい」そのためにも、意識して自分に喜怒哀楽を与えるようにしている。感情が老化しないよう刺激を与えるようにしている。

■村上信夫プロフィール
1953年、京都生まれ
明治学院大学卒業後、1977年 、NHK入局。富山・山口・名古屋・東京・大阪に勤務。
2001年6月より東京ラジオセンター勤務。「きょうも元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)担当。
これまで「おはよう日本」「ニュース7」「BS将棋中継」などを担当。
名古屋時代、「お母さんの勉強室」「育児カレンダー」を担当。以来、教育や育児に関する問題に関心を寄せている。
父親たちの社会活動グループ「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋、ピアノ。
「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画とは
「日本画の一つ、俳味のある酒脱な略筆の淡彩もしくは墨絵で賛などしたものが多い」
(広辞苑)

イネ・セイミ

 堀江実のポエムコンサートをCDでお届けします。

  詩と朗読
  フルート
  ピアノ
  構 成

  Disk1
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 イネ・セイミ
 はちまん正人
 佐藤よりこ

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 言霊に癒されるCD堀江実のポエムガーデン
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