海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 これほどまで、自分の考えを信じ切り、前向きな生き方に徹することが出来る人には、会ったことがなかった。
 その人は、ワタミ株式会社代表取締役社長の渡邉美樹さん。外食、宅配、介護、農業、環境などの様々な分野にビジネスチャンスを広げている。学校教育にも取り組み、ビジネスだけでなく、人生哲学、生き方を問う若者のリーダー的存在でもある。今年50歳になるが、いまだ青年の雰囲気を漂わせている。
 渡邉さんが経営する外食チェーンは、合わせて600店舗ほどある。渡邉さんに会う前に、そのうちの1店舗で食事をした。出迎えた店員の腰を90度に折るおじぎに感心した。腹の底から声が出ている。営業時間外でも予約を受け付けてくれた。メニューの写真より実物が良いという嬉しい裏切りもあった。渡邉社長のホスピタリティかくあるべしという思いが行き届いている。

 渡邉さんの愛読書は、『論語』だ。2500年以上前に語られた孔子の言葉が、国を超えて、時を越えて、自然な形で私たちに問いかけてくる。自分の人生とオーバーラップさせながら、車の中、ベッドの脇に常に『論語』を置いて、繰り返して読んでいる。

吾、十有五にして学に志す
 10歳で、社長になると決めていた。いわば「経営に志した」わけだ。父は、CM制作会社を経営し、恵まれた家庭だった。しかし、渡邉さんが10歳の時、父の会社が清算を余儀なくされた。その半年前には、母が死去した。悲しみと、悔しさの中で、渡邉少年は死のうとさえ思った。だが思案を重ねるうち、「社長になって父さんの敵(かたき)を取る!」と決意した。
 社長になるには、社会を知ることだと、読書に勤しんだ。いわば「学に志した」。高校時代も、図書館にこもっていた。明治大学商学部に入り、6大学加盟のボランティアサークルのリーダーとして、様々なイベントの企画に携わり、人脈を広げた。
 人生の転機となったのが、大学4年の時の北半球放浪の旅。ニューヨークで入ったカフェは、様々な国籍の人たちが陽気にダンスをし、酒を飲み語らう、温かな空間だった。「多くの人が、語らえ、安らげる空間を提供すること」こそ、自分のすべきことだと悟った。
 大学卒業後、半年間、経理会社に就職して、財務に関することを勉強した。外食産業を学ぶため、高級クラブでボーイの見習もした。起業資金をつくるために、大手運送会社で、1年身を粉にして働き、300万円を貯めた。
 「夢に日付を入れよう」というのが渡邉さんの口癖。目標設定をして、事業家への道を着々と切り開いていった。

己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ
 サービス業で最も大切なことは、「恕」。すなわち、人を思いやる心だ。自分がしてもらいたいことを人にする。してほしくないことはしない。介護事業にも、この考えに基づいて取り組んでいる。
 「介護付有料老人ホーム」の運営をはじめ、多岐にわたる介護サービスを展開している。「ワタミのホームに親を入居させたいと思う子は親孝行だと言われるホームにしたい」と考えている。
 外食チェーンのノウハウを生かして、すべての方に満足してもらえる食事を提供するよう努力している。有機栽培農場から届く新鮮な野菜が食卓に並ぶ。「美味しく、楽しく、食べやすく、飲みやすく」をモットーに、個人の好みに合わせての味付けもする。日に日に元気になっていけるホームを目指している。さらに、定年退職したサラリーマンが年金で入れるような料金設定にしている。

朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり
 渡邉さんの人生設計では、80歳で死ぬことになっている。母からもらった命、一日一生の思いでいる。だから、この孔子の言葉が身に染みるのである。
 小2の時、母に勧められて以来40年間、日記を書き続けている。書くことで一日を振り返り、自分の行動を点検して反省する。反省しないと成長しない。「思い」は「行動」になり、それが「習慣」になると「運命」が変わると考えている。

 渡邉さんが唯一、日付を入れていない夢≠ェある。
 地球上の子どもたちがみんなで使える共通の教科書≠つくることだ。その教科書を使う学校を世界各地に作りたい。学校では、なぜ人は生まれてきたのか、何のために学び、何のために働くのかを教える。自分の生命は他の生命の犠牲によって成り立っていることを教える。
 世の中の人々から「ありがとう」を集める仕事をし、自分が命を全うするとき、自分自身に「ありがとう」が言えるような生き方をしたいと考えている。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

 堀江実のポエムコンサートをCDでお届けします。

  詩と朗読
  フルート
  ピアノ
  構 成

  Disk1
  Disk2
 堀江実
 イネ・セイミ
 はちまん正人
 佐藤よりこ

 光のように
 花のように

 言霊に癒されるCD堀江実のポエムガーデン
 やさしい風がふいています。
 木々の梢は光っています。
 あなたの心がやすらぎで満たされますように。
 あなたの心に喜びがあふれますように。

2003年10月22日発売 CD2枚組 3,150円(税込み)