海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 龍馬への思い
 坂本龍馬を好演している福山雅治さんに、収録のわずかな間隙を縫って会うことが叶った。これまで何百という人に話を聞いてきたが、魂の抜け殻状態にされたことは一度もなかった。福山さんと話し終わると、まさにその状態に陥り、それは、翌日まで続いた。すごい「気」の持ち主だ。
 大河ドラマ『龍馬伝』が大詰めを迎えている。結末がわかっているからか、見ていても妙にせつない。「いつまでも演じていたい。大団円が近づいてくるかと思うと寂しい」とご当人も思っている。
 土佐の名もなき青年が、「新しい日本のしくみ」を作るため、動き出す。仇同士だった薩摩と長州を結びつけるために奔走する。自分の生き方を求めてさまよっていた龍馬が、やっと自分の役どころをみつけ、どんどん成長していく姿は、見ていて胸がすく思いだ。

 成長していくにしたがい、演じる福山さんの顔つきも変わってきた。若き龍馬は、「どういたらいいか、わからん」と、自分を持て余し気味だった。暗中模索の青年時代は、答えを探している若いころの自分の姿にダブらせて演じていた。
 成長したいま、演じる上では、「純粋な青年をやるより照れずに済む」が、人の心をつかむキャラクターをどう表現するか悩ましい。自然体の演じない演技が求められる中、演技がオーバーになりすぎていないか、「なかなか客観的に自分の役が見られないが、自分なりの龍馬が出来ているかなぁ…」。
 これほど、感情のやり取りを大切にするドラマは、これまでの経験にはない。龍馬が、日々の課題を一つ一つこなし、大きなことをなし遂げたように、「僕も、大河という壁を乗り越える努力を、少しずつこなしている。龍馬は、スポンジのように、すべてを受け入れ、吸収していいものを絞り出した人だから、自分も受け入れ続けたい」。

ふるさと長崎への思い
 ミュージシャンとして、俳優として、ラジオDJとして、さらに、写真家として、女性の憧れの存在として、これだけ多面的な活躍をするアーティストは稀有な存在だ。
 1969年の長崎市生まれ。中学生の時、兄に誘われて吹奏楽部に入り、ホルンを吹いていた。兄の影響でギターも始め、バンドを結成した。
 長崎工業高校を卒業した後、地元企業に一旦就職するが、数ヶ月で退職した。音楽の夢は捨てがたく、18歳でミュージシャンを目指し、20万円だけ持って、上京した。だが、東京で暮らしていても、ふるさとへの思いは募る。
 今回の大河出演も、長崎が舞台になることで、地域が活性化する一助となればいいと思い、引き受けた。
 去年8月、長崎の稲佐山で里帰りコンサートを開いた。「長崎は暗い事件が続き、経済も地盤沈下している。経済効果の一助にしたい。恩返しならぬ音返しという気持ちだった」。そして、「かつての僕のように、閉塞感を抱いている若者が、可能性を感じてくれたらいいな」とも考えた。

 福山さんのバックボーンは、生まれて18年いた長崎にほかならない。最近、無性に里帰りしたくなる。行くと必ず墓参りをする。先祖を感じ、自分の原点を感じ、リセット出来るような気がするのだ。
 「長崎から出てきた福山」と「エンターテイメントの福山」が微妙に出たり入ったり、寄り添ったり、寄り添わなかったりする。「長崎から出てきた福山」と「エンターテイメントの福山」がシンクロする日も来るのだろうか…。

自分への思い
 1988年、オーディションに合格し、映画で俳優デビューを果たした。1990年には、『追憶の雨の中』で念願の歌手デビュー。順風満帆のスタートを切った。
 1993年に、ドラマ『ひとつ屋根の下』がブレイク。『桜坂』が大ヒットしたのは、2000年のことだ。俳優としても歌手としても、大きな評価を受けた。
 福山さんは、ラジオのDJの経験も長い。土曜夜の『魂のラジオ』が10年。日曜夕方の『トーキングFM』が15年になる。「気軽にメールで突っ込み入れられたり、電話で恋愛や人生相談に乗ったり、リクエストにこたえて弾き語りしたり、身近なコミュニケーションが取れる場」だから、とても大切にしている。龍馬収録中も、ラジオ番組は欠かさず続けている。
 オリンピック通としても知られている。シドニー、アテネ、北京と3大会連続で、民放のオフシャルカメラマンとして活動している。鳥取県境港ゆかりの写真家・植田正治さんとの交流をきっかけに、写真撮影に本気で取り組んでいる。

 常に自分の中でOKとNGを繰り返している。「好奇心いっぱいの自分」と「客観的冷静な自分」が交互に出てくる。だから、褒められても、すぐ信じない。調子に乗れない性格らしい。「オリンピック選手で勝てなかったけど、楽しめましたなんて発言は、信じられない」。自分を過大評価せず、冷静に人も自分も見つめることが出来る福山さんと対峙したから、魂を抜かれたのかもしれない。
 もう一つ、たまらない魅力が「声」。低くて深い。ストンと思いが心に伝わる。腑に落ちる。龍馬自身の語り口に、多くの人が引き込まれたという。司馬遼太郎は、「人をわなにかけるような言葉ではなく、腹の中でちゃんとぬくもりのできた言葉」と表現している。福山さん自身の話し方も、「腹の中で温めた一つ一つの言葉を、相手の心に置きに来てくれる」から、その心地よさに酔ったのかもしれない。

 今年は、歌手デビュー20周年にあたる。この先、福山雅治は、どこへ向かうのか…。「常に変化出来る自分でいたい。40歳になっても、出会いときっかけがあれば、人は変われると思う。龍馬を演じた自分が、これからどう変わるかが楽しみ」。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

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1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

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