海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

尾木ママの自己分析

 テレビにラジオに講演会に、今、ひっぱりだこの「尾木ママ」。本名の尾木直樹で、長年、教育評論にあたってきたが、バラエティ番組のタレントと誤解している人もいる。
 教師退職後、臨床教育研究所を立ち上げ、現場の最新状況に即した興味深い調査研究を発表し、教育に関する本を180冊以上出し、教育基本法改正にあたって、反対の参考意見を国会で述べるなど、リベラルな立場で、幅広く活動してきた。その尾木さんが、にわかに注目され出したのは、ここ1、2年のことだ。

 この日もすっかりトレードマークになったブローチをつけて現れた。どんどん増えて200個はあるという。「初対面の人との距離感を縮める役割があるのよ。雰囲気を和らげる格好のコミュニケーションツールよ」と柔らかい物腰で話す。
 いまの異常ともいえる人気を、ご本人はどう見ているのか聞いてみた。「尾木ママという社会現象よね。安心感、癒し系のキャラを求めているから受けるのよね」と客観分析している。「還暦過ぎてからの予想外の出来事に、なんだか生き直している気分よ」重ねて問うた。尾木ママブームの渦中で、自分を見失う心配はないかと。「ダイジョウブよ。還暦すぎてるのよ。これまでいろんな経験してるのよ。浮かれることはないわよ」
 やわらかい物腰と話し方は、昔からだった。「もともとこんなしゃべり方なの。ガールズトークはまったく苦にならないわ」。明石家さんまさんのバラエティ番組に出て、さんまさんが「尾木ママ」と呼んだことから、一気にブレイクした。
 バラエティに出演するのも、より多くの人に知ってもらいたいことが早く伝わるから。
 いままで手が届かなかった層に、言葉が届いている手ごたえを感じる。脳がリラックスしている時、波長が合う形で柔らかく言われると肝心な部分が伝わるようだ。
 ファンクラブも結成された。その中から、1人でも2人でも、教育を通して社会変革する人が出てくることを期待している。

尾木ママの魔法の言葉

 1947年、滋賀県生まれ。父は気象予報官、母は教師をしていた。4つ上の姉、3つ下の弟がいたが、「5人家族が次々亡くなり、いまは僕一人になったの」。3年前、両親が相次いで亡くなり、姉も後を追うように、去年亡くなった。弟は、白血病で44歳で亡くなっている。そのことを語る時だけ、一瞬寂しそうな表情を見せた。
  「両親は、ありのままの僕を認めてくれていたの。母は、負けて勝ちを取ればいいと言っていたのよ」
 おしゃべりが大好きで、勉強も運動もできる子どもだった。自然と戯れ、本を読みふける日々を送っていた。
 だが、本命の県立高校に合格出来なかった。この挫折体験が、その後の生き方に大きく影響を与える。入学した私立高校では、体育教師が、できない生徒を蹴るのが許せなくて、体育の授業をボイコットした。自分が教師になってから、絶対、頭ごなしに叱らなかった。
 浪人して、早稲田大学教育学部に入学。大学時代に、いまの妻と出会う。「僕の好きな中村玉緒さんを3倍パワーアップしたような人なの。純粋な天然パワーよ。素のままで無理をしないの」。
 国語教師として22年間のキャリアを持つ。教師時代の尾木さんを象徴するものに学級通信がある。手書きのガリ版刷りをポケットマネーで出し続けたら、やめられなくなった。4000号は発行した。
  「どうしたの先生」とニックネームがついた。思春期の子どもたちの声に真剣に耳を傾けた。「教育は愛とロマンが大切なのよ」。
 1989年、42歳で教壇を去った。体調を壊したこともあるが、弟が志半ばで亡くなったことも関わっている。

 退職後、教育評論家となり、1994年に臨床教育研究所「虹」を立ち上げた。「臨床教育」としたのは、現実の問題を取り上げ、教育現場の声を代弁したいからだ。教育現場と社会をつなぐ虹の架け橋をかけたいという思いで活動している。「虹」は、弟が脱サラして作りあげた出版社の名でもある。弟の意志を引き継ぎたいという思いが去来する。
 これまでの著書は、180冊を超える。現代を生きる子どもたち、彼らを育てる親たち、そして教師たちにメッセージを送り続けている。
 子どもたちの「ありのまま」を認め、共感する。大人は無防備な子どもに寄り添い、その味方になり、愛情の盾で守る必要がある。
 「でも」「だって」「どうせ」の3D言葉は使わない。その代わりに使う魔法の言葉がある。「ま、いっか」。行き詰った時、この言葉を口にした瞬間、何とかなりそうな気がしてくる。肩の力が抜ける。尾木さん自身が、教育現場で戸惑った時、肉親を失った哀しみの時、マスコミにちやほやされる時、講演会で思い通りにいかない時、この魔法の言葉で乗り越えてきた。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月1回 第2金曜日 午後1時〜
 会 費:1回 2,500円(4ヶ月分前納制)
 問合せ:0563−32−0583

イネ・セイミ

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