海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 品性があって、ユーモアがあって、気配りがあって、飾らない、気取らない。
 まるで非のうちどころがない。つけいるスキがないかと探したが見つからない。
 探す必要などないのだ。こういう女性が存在すること自体が、日本男子として誇るべきことだ。こんなこと言うと、「なに言ってるの!」と檀さんの高笑いが聞こえてきそうだ。
 檀ふみさんは、作家檀一雄の長女として生まれた。高校生のときに映画デビューを果たし、映画「男はつらいよ」「山桜」、ドラマ「蔵」「功名が辻」など数多くの作品に出演してきた。NHK「連想ゲーム」にレギュラー出演し、お茶の間の人気者になった。

迷わず決断した例外
 檀ふみさんとは、正月をともに過ごした仲である。それも元日早々、10時間も…実は、NHKラジオの正月特番で、一緒に司会をしたことがあるのだ。長時間番組の合間を縫って、檀さんは、せっせと年賀状を書いていたのを覚えている。1枚1枚手書きの年賀状は、毎年350通と決めているそうだ。いまのところ、毎年欠かさずいただいているということは、350分の1、選外には漏れていないようだ。
 「私は何でもサッとできないタイプ。例えば手紙を書くにも、まず便箋やペン選びの段階から迷ったり……、私の人生は迷いだらけ」
 そういう檀さんが、この六月に公開される映画『春を背負って』は、迷うことなく引き受けた。「富山の立山連峰を舞台にしたお話だったので、これはもう運命だと感じて迷いませんでした」。
 檀さんが担当していたNHKの『日めくり万葉集』という番組で、立山は神のような品格をもった山だと詠んだ歌に出会った。相前後して富山に行く機会があり、飛行機から立山連峰が見えたときに、あの美しい山に登ることは叶わないだろうと思っていた矢先の映画オファー。この機会を逃すともう一生登れないと思い引き受けた。
 だが、本格的に登山をしたことはなかった。「小学校の登山遠足でもビリのグループにいたくらいで、山登りが楽しいという人の気持ちが全然わかりませんでした」。

 映画では、山頂の山小屋まで登らなくてはいけないので、半年くらい毎日一五〇回スクワットをして足腰を鍛えた。「そうしたら、なすびのような胴に細い箸が二本ささっている感じの頼りない足だったのが、太ももにしっかりと筋肉がついてきました。セクシー女優の壇蜜さんにも負けないメリハリボディーになってきたんです(笑)」。
 初めて高い山に登ってみて、感動の連続だった。めったに遭遇できないブロッケン現象なるものを体験出来た。「その日はずっと霧が出ていましたが、夕日が出始めましたので、撮影の合間に、一人で山頂に登ったんです。山小屋から一〇メートルくらい登っただけですが、単独登頂したわけですね(笑)。山頂の裏側に回ってみたら、私の後ろ側から夕日が当たって霧のスクリーンに私の影が高〜く伸びたんです。両手を横に伸ばすと大きな十字架となって映し出され、次に何と頭の上から虹がシューっと出てきて、もうびっくり!後光がさしている自分の影を見た感じでした」。
 ブロッケン現象とは、太陽の光が背後から差し込み、影の側にある霧粒などによって光が散乱して、見る人の影のまわりに虹のような光の輪が現われる大気光学現象なのだそうだ。「私が山頂に滞在したのはたった二泊なのに、ものすごいご褒美をいただいたと思いました」。

檀さんの居場所
 この映画は人が求める「居場所」をテーマにしている。ズバリ、檀さんご自身の心の居場所はと問うと、「シャンパンの泡の中」とはぐらかされた。
 諦めず、重ねて問うと、ようやく口が開いた。「家族と一緒に過ごす時間のほかに、私が幸せや楽しさを感じることのほとんどは、仕事によって教えられたものばかり。例えばワインに魅せられたのも、阿川さんとワイン修業というお仕事をしたことがきっかけですし、山登りや着物の楽しさも仕事を通して知りました。音楽や美術、万葉集の世界も、NHKの『N響アワー』や『日曜美術館』などの仕事で関わらなかったら好きになっていなかったと思います。仕事として関わったことが自分の血肉となり、それらが今の楽しみや心の拠りどころになっているということですね。だから今は好きなものだらけです。仕事を除いてはね(笑)」
 「仕事のおかげで好きな居場所がたくさん出来たのに、それって矛盾していませんか」と突っ込みを入れると、「私は家でお料理や庭いじりをしたり、ワインを飲みながら音楽を聴いたりする時間が大好きなので、いっぱい詰まったスケジュール表を見ると暗くなるの。仕事に行ってしまえば楽しくなるんですが、出かけるまでがおっくう。最高の楽しみは、何もしないで一日中のんべんだらりとしていることかもしれません(笑)」。
 年を重ねていくと、若い頃には見逃していた楽しさや気づかなかったこともわかるようになる。「パーっとわき立つものがなくなる代わりに、一つひとつがあわれみ深く思え、毎日変わらないようでいて少しずつ変わっていくものをしみじみと感じるようになりますね。私は家を出たこともなく、若い頃から状況はまったく変わっていないので、歳を重ねた実感はないんですが、母を通して人生の充実期や人間の老いを学んでいる気がします」。
 檀さんは、「今日は最初の一日」と思うようにしている。作家で精神科医の帚木蓬生さんから「人はもう歳だからとよく言うけど、これから生きる人生で今日が一番若い。だから今日が大事な一日なんだよ」と聞いて、それ以来、一日一日を大切にしようと心がけている。檀さんの居場所は、「いま」「その時」なのかもしれない。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

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