海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 劇団四季『オペラ座の怪人』でデビューして以来、「ミュージカルの貴公子」と呼ばれ続けてきた石丸幹二さん。四季時代の近寄り難さが消えた。
 最近は、大ヒットドラマ『半沢直樹』や『ルーズヴェルト・ゲーム』などで、いままでにない役を演じ俳優としての幅も広げている。

「四季」を辞めての変化
 石丸さんが劇団四季を退団したのは、2007(平成十九)年の十二月。男の厄年四二歳のときだった。高い塀を飛び越えるといった、今まで難なくこなしていたことが、突然、出来なくなった。自分では若いつもりで過信していたが、ここは一度活動をストップしなければと思い至った。これを境に、戸惑いながらも新たな道に歩み出すことになる。
 「四季にいた頃は決まったレシピ通りに料理を作る感じでしたが、退団後は自分で考えた創作料理を作らなくてはならない。その違いに気づいたとき、自分の中の発想する力が乏しくなっていて、がく然としたものです(笑)」
 「劇団時代よかったのは、年中舞台があったので自分の演技を磨けたことです。やめてからは、舞台に上がりたくても上がれないフラストレーションがありました。一方、劇団では新しい挑戦をするのは不可能に近かったんですが、やめたら可能になりました」
 逆にいうと、体の変化が新しい世界へと後押ししてくれたともいえる。自分はこれからどう進んだらいいものかと考えていたところに、体の変化が現われたのだ。
 だが、活動を再開するまで、一年半休養した。不思議なことにやめたとたん肉体的な故障が一気に噴き出してきて、本当に歩けなくなった。一年くらいはほとんどケアの時間に費した。まずは二〇分程度の散歩から始めた。ただ、自然と触れ合いながら日常的な人の営みを見られたのは、大きな収穫だった。劇場の開演時間と重なり、日の入りすら見たことがなかった。夕陽の美しさに見とれた。


パリでの変化
 フランスの歌手、アンリ・サルヴァドールが八三歳で出したCDを聴いて、ささやくような情感のある歌声に衝撃を受けた。彼の人生をたどる旅にパリまで出かけた。
 広い劇場でミュージカルをやるときは、大きな声で歌わなければならないとはいえ、過剰なことをしているのではと思っていた。アンリの歌はすべてを削ぎ落したものに感じられて、究極の歌い方はこれだと先の目標が定まった気がした。高らかに歌わなくても、人の心に伝わる歌い方があると気づいた。
 人は、変化する。変化の手ごたえを感じたとき、この上なく嬉しいものだ。偶然手にしたシャンソン歌手、アンリ・サルヴァドールのCDを聞き、情感が滲み出るささやくような歌声に、自分が求めていた声だと直感したときの石丸さんの喜びがよくわかる。それは偶然でなく必然だったのだろう。
 アナウンサーの世界でも、力を入れて朗読するより、力を抜いて静かに読んだほうが聞き手の想像力をかきたててしっかり伝わることがある。力で無理やり聞かせるのではなく、聞く人が気持ちよくなる声やトーン、間合いで伝わり方が違ってくる。「伝える」と「伝わる」は違う。言葉に対する想いがなければ伝わらないのは歌の世界と同じだ。

3年ごとの変化
 1965(昭和40)年、愛媛県生まれ。幼いころから、いろんな音楽に親しんできた。小学校では鼓笛隊、中学では吹奏楽部にいた。高校でチェロ、東京音楽大学ではサックスを専攻していた。入り直した東京藝術大学では、演奏ではなく声楽科に進んだ。変化を求め続けるタイプのようだ。自分のやりたいことが三年ごとに変わったと笑う。ただ、今までやってきたことはすべて無駄にはなっていない。ひとつひとつが、表現者・石丸幹二の武器になっている。コンサートで吹くサックスも評判だ。
 劇団をやめてからは、かつての貴公子役とはまったく違う役柄が増えた。貴公子はやりつくした感がある。四〇代の男は四〇代の男に似つかわしい役があり、今しかできない役があると思っている。敵役を演じる時は、人間臭さや人の弱さを、どのくらい出せるかというところに重きを置いていた。
 演技していないような演技をするのが理想だ。例えセリフのないシーンでも、その場にいる自分の背景をシミュレーションして演技に臨む。見えないところの設定作りを「ゼロ幕を作る」と言うそうだ。
 石丸さんの好きな役者は、高倉健さんと吉永小百合さん。二人には品を感じる。どんな役をやっても下品にならない。「僕も品のある役どころをやりたいと思っているので、お二人のような役者を目指したい」「悪役敵役でも、下品にならないように演じたい。それぞれの役には役目である任≠ェあって、任≠ノ合った人が役に入るとものすごい輝きが出るんです。僕もいろいろな役を経験して、自分の任に合った役に落ち着くんでしょうね」
 来年のNHK大河ドラマ、『花燃ゆ』の出演も決まっている。長州藩の家老、周布政之助役で出演する。また中間管理職の役だ。「周布には酒乱の癖があったようで、酒癖をうまく利用すれば、いろんな演じ分けが出来そうで楽しみにしています」
 どんな任≠フ役になるのか、こちらこそ楽しみだ。

■村上信夫プロフィール
NHKチーフアナウンサー
1953年、京都生まれ。
明治学院大学卒業後、
1977年、NHKに入局。
富山、山口、名古屋、東京、大阪に勤務。
現在は、「今日も元気で!わくわくラジオ」(ラジオ第一8:35〜)、
「BS将棋中継」などを担当。
これまで、「おはよう日本」「ニュース7」「育児カレンダー」などを担当。
教育や育児に関する問題に関心を持ち続け、横浜市で父親たちの社会活動グループ
「おやじの腕まくり」を結成。
趣味は、将棋。
著書に「元気のでてくることばたち!」(近代文芸社)
「おやじの腕まくり」(JULA出版局)
「いのちの対話(共著)」(集英社)
「いのちとユーモア(共著)」(集英社)

「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

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