海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

人は死なない
 東大病院の救急部・集中治療部部長である矢作直樹さんが『人は死なない』と言ったから、大きな反響を呼んだ。
 矢作さんは、幼いころの交通事故と、大学生のとき登山中の滑落事故で、あわせて3回命拾いをしている。そういう経験を通して「死は単なる肉体死。魂は永遠に生き続ける」と言い切るから、説得力があったのだろう。

 死を迎えることについて、昔の人は「人智を超えて、しかたがないこともある」と、どこかでわかっていた。だが、時代とともに死の捉え方に変化が出てきた。矢作さんは、人の命を救命しようと救急医療の現場に来たが、多くの人が命の瀬戸際になって生に執着する様子を見て、「魂は死なない」という内容の話を広く伝えたいと思った。

 矢作さんの考えには、共感することが多く、どうしても会いたくなった。共通の知り合いを介して対談を申し入れたが、多忙を極める矢作さんから、2度断られた。だが諦め切れずに手紙を書いた。ようやく3度目の正直。対談を受諾してもらったが、実際に会うまで半年かかった。
 ようやく対面叶った矢作さんを、一言で言うと、ふんわりやんわりした人だった。終始、柔和な表情。ユーモアもあるし、我を出しすぎない。話は噛み合い続け、嬉しいことばのキャッチボールが出来た。魂が喜ぶ対談となった。

ことばのエネルギー
 対談の前日、馴染みの書店の棚で、偶然、新刊『世界一美しい日本のことば』を見つけた。「人生で起こることに偶然はない」と矢作さんが言うように、この本との出合いも偶然とは思えなかった。ここに書かれている「いい言葉にはプラスのエネルギーが宿っている」という話は、僕が主宰する「ことば磨き塾」でいつも言っていることと相通じるものを感じ嬉しくなった。

 「ことばは『音』であると同時に『意識』なんです。この2つが合わさると、ことばはエネルギーに変化します。これがいわゆる『言霊』。ことばには、よいエネルギーを持つことばと、悪いエネルギーを持つことばがあります。よいエネルギーを持つことばを使うと、よいエネルギーがまわりに伝わります。意識がよい方向に変化するんです」。
 第二次世界大戦後は、西洋からもたらされたものによって、日本ならではの精神文化も後退してしまった。古き良き日本人のもっていたものを思い出してほしいという気持ちが強い。日本人がどんどん壊れていくのを見るに見かねて、矢作さんは、なんとかしたいと思うのだ。
 形から入って心に至るという。矢作さんも、形からだんだん座りがよくなって魂が入ってくると考える。ありがとう、ありがとうと何度も言っているうちに、感謝している自分に気づく。言葉は習慣化して使うことで、身に付いていく。意識して意識して意識しているうちに無意識に使えるようになれる。

中今を楽しめたら
  死ぬのが怖くなくなる

 子どものころ、いたずら小僧で、学校の先生を困らせていたらしい。とにかく言うことをきかないので、通信簿には「この子は批判的である」と書かれていた。「批判的ってどういうことか」と母に聞いたら、「素直じゃないってことだ」と言われた。人と同じことが嫌いで、右と言われたら右を向く子ではなかったということだ。自分の感性のままに動いていたのだ。それは、そのまま今に受け継がれているように思う。
 僕は小さい頃「なんで自分はここにいるのか」と考え始めたら切りがなくなり、途中で怖くなって考えるのをやめたことが何度もある。矢作さんも小さい頃から見えないものの存在を感じていたのか聞いてみた。「自分の場合は頭をつかって考えるというよりは、感じるというか、直観的でしたね。『なんで自分を産んだんだ』と親に言う人もいますが、この親の元に生まれてきたのは自分の意思だと思っていました。宇宙から見れば人も地球も『one of them』で、個にこだわる必要はないのではと思います」。

世界中で争い事が絶えず、混とんとしている時代。矢作さんは、そんな今こそ、日本人の出番だと考える。これからは日本的な調和の方向にいくのではないかと言う。そうならないと、本当の世界平和はこないと思う。「でなければ、地球さんに失礼ですよ」と。
 地球さん。いいなぁ、そういう言い方。人間は霊長類のトップにいると錯覚している。「宇宙の高い次元の立場から人類を見れば、地球だけでなくすべてに節度というか、いたわりをもってほしい」と矢作さんは穏やかに言う。ただあまり悲観はしていない。「人の心に灯がともるかどうかだけの話」だと。
 著書に、「他者を気遣い、神様に感謝しながら、毎日を楽しく生きることが大事」と書いてあった。そういう生き方をするには、自利利他のバランスが大事。この世界はすべてバランスなのだ。自分の中で自利と利他のバランスがとれていると思うか聞いてみた。
 笑いながらこう答えが返ってきた。「あまり意識したことはないのですが、いまのところ元気に暮らしているので、理にかなった生き方ができているような気がします。あまり鏡は見ませんが、自分自身としては満ち足りた顔をしていると思います」。
 矢作さんがよく言う「中今」。過去に執着せず、未来を憂えず、今を楽しめたら、人生は変わるはず。だから矢作さんは、ふんわりやんわりしているのかもしれない。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

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