海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

奈良橋さんの眼力
 奈良橋陽子さんは、演出家、作詞家、映画監督、英会話教師、俳優養成所主宰など、一つの肩書ではくくれない幅広い分野で仕事をしてきた。中でも、キャスティングディレクターの仕事での活躍が目覚ましい。その「眼力」には、定評がある。
 渡辺謙さんを『ラストサムライ』起用への橋渡しをし、彼をハリウッドスターに押し上げた。渡辺謙さんは、技術的な面や見た目もよかったが、何より、気負わずスコーンと抜けたようなところがあったらしい。何事も「OK、OK」っていつもケロッとしていた。『ラストサムライ』では、スタントチームを始め、四〇〇人くらいキャスティングした。

 これまでに、菊地凛子さん、真田広之さん、別所哲也さん、小雪さん、多くの日本人俳優を、海外で認められる俳優にしていった。
 逆輸入というか、朝ドラ『マッサン』のヒロイン・エリー役に、アメリカ人のシャーロット・ケイト・フォックスさんを、NHKに紹介したのも奈良橋さんだ。彼女には、演技力はもとより、精神的なスタミナがあった。どこか控えめで謙虚なところもヒロインに向いていると思った。
 才能をどうやって見極めるのか聞いてみた。「一言でいうと勘。最初にいいと思った勘は九割方、ほとんど外れません」と瞬時に答えが返ってきた。

橋渡しの奈良橋
彼女は、その名前のごとく、人と人、世界と日本の橋渡しをする使命感があると自認している。もともとは役者をやりたかった。だが、自分が表に出てやるより、仕掛け人になりたいと思うようになった。
 日本人に対するアメリカ人の誤解を改善していきたいと思ったことが大きい。同じ人間なのに、憎しみや人種差別があるのは理解出来なかった。人は加害者であると同時に、被害者でもあるということを世界中の人に知ってほしいとも思った。
 そのように考えるのは、やはり幼い頃から長く海外で暮らしてきた経験があるからだろう。父が外交官で、国連機関の代表も務めていたため、いろいろな国の方やその家族と交流があった。国は違ってもこんなに和気あいあいと仲良く出来ると、実際に見てきた。それぞれが、その違いを認め合うことが大事だと考えている。ゴダイゴの「ビューティフルネーム」(1979年、作曲タケカワユキヒデ)の歌詞には、人は一人ひとり、すばらしい存在なんだという思いが込められている。

 タケカワさんは、奈良橋さんのことを「短い言葉で真実を語る人」と言っている。それは英語脳だからかもしれない。日本語だと主語のあとにダラダラと言葉が続いて、結論になかなか至らない。詞を書くときも、余分な言葉をそぎ落として、よりシンプルな言葉で伝えようと努めている。

つもりの排除
奈良橋さんの著書に、「話したつもり、聞いたつもり、わかったつもりの会話が人と人とのコミュニケーションを難しくさせ、誤解を招く」とあった。自分の思いが強すぎると、人にゆだねたり、人の話を聞けなくなったりする。
 コミュニケーションの原点は「Really talk & really listen」。真剣に話し、しっかり聞くことだと言う。伝えたいことを全力で話し、全力で聴く必要がある。
 「自分の魂から相手に向かって一筋の光が届き、相手は心を開いてその光を受け取るイメージ」という奈良橋さんのことばは深い。

 奈良橋さんが作詞した「銀河鉄道999」には、「ずっと旅は終わらない」という歌詞がある。奈良橋さん自身の旅もまだまだ先へ先へと続いていく。
 「夢中になっているものがたくさんあって、その先を考えるすき間さえない。五本の電車が同時に出発を待っているような感じ(笑)。来年は、亡くなった今井雅之から引き継いだ映画のほかにもう一つ、公開予定の映画があります。広島の被爆者・佐々木禎子さんとアメリカで彼女のことを広めた女性の二人の物語で、映画のタイトルは「千羽鶴」です。この仕事はキャスティングだけでなく、どっぷりと中に入りこんでいるから忙しくて(笑)。」
 「つもり」を排除しているから、どんなことにも先入観を持たない。「全力」で相手を理解し、許し、尊重する。
 だからこそ、人の美質を見抜き、国の枠にこだわらず、「橋渡し」が出来るのだろう。諍いをなくすヒントが、奈良橋さんの人生にあるような気がした。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

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