海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

20年ぶりの再会
 写真家の安珠さんとは、20年ぶりの再会だった。
 ジバンシーにスカウトされフランスへ渡り、パリを拠点に国際的なモデルとして活躍した後、写真家に転身をしたばかりの頃に会ったのだ。今もモデル時代と変わらぬ華やかさを持ち合わせていた。長い空白の時間を感じさせない、心と心が共鳴し合う濃密な対談となった。

 安珠さんと再会を果たしたのは、桜吹雪の舞う白金の八芳園だった。20年前、NHKの「おはよう日本」でインタビューしたことを、よく覚えていてくれた。互いの20年間に想いを馳せた。
安珠「久々にお会いした村上さんはとても明るい雰囲気に満ちていて、お顔がポジティブになりましたね」。
「村上さんは、色で言えば近寄りがたいブルーから暖かいオレンジ」
ムラカミ「安珠さんは、かたくなさが消え、自由になった感じ」

手で夢を繋ぐ
 最新の写真集『Dream Linking』は、東日本大震災で被災した子どもたちを中心に撮影したものだ。タイトルは、「子どもたちの夢がつながっていくことを想像しよう」というイメージでつけた。
 10代の中高生たち77人の写真を撮影した。未来を思い描き、夢を追う彼らは、笑顔を忘れていない。別々の場所で撮影したが、ポーズは一緒だ。両手を広げてもらった。その写真を横一列に並べたら、手を繋ぎひとつになっているように見える。広げた両の手は、夢に向かっているようにも見えるし、希望を掬い取るようにも見える。
 被災地には、震災後一年半くらい経ってから行った。すぐ行かなかったのには訳がある。「阪神淡路大震災のすぐあと、被災地の写真を撮って寄付金を募ろうということで現地に赴いたが、惨憺たる現地の様子や被災した方たちにカメラを向けることができなかった」。
 だから、東日本大震災のときも自分は撮れないとわかっていた。被災地の様子を収めた写真は他の人に任せて、自分にしか撮れない写真を撮ろうと考えていた。それがこの写真集にあるような、子どもたちの笑顔を撮ることだった。
 「阪神淡路大震災のとき、あの惨状にもかかわらず、中学一年生くらいの子どもたちが大笑いしながら仮設テントに入っていくのを見たんです。何があっても笑うことができる彼らに、大きな生命力を感じました。それで、どんな状況でも前に向かって一生懸命生きている子どもたちを撮りたいと思っていたんです」。

 ある程度時間が経って、みんなが将来の夢を語れるようになった頃に行こうと思ったのはそのためだ。「子どもは思考サイクル≠ェ速いので、いつまでも被災者のまま止まっていることはないんです。そして植物のように、日の当たっているほうに顔を向けて伸びていきます。現実に負けて、下を向いてしまいがちな大人とは違い、日だまりに身を置くゆとりがあるということでしょうね」。

 安珠さん自身、モデル時代、手を広げるというより、クローズしていた時期もあったのではと思って、そのことを聞いてみた。
 「昔は広げられた誰かの手に飛びこむ感じでした。自分の両手を広げ始めたのは、写真家になってからです。表現者は自我を吐き出さなければなりませんし、それに自分の『素』を出して信頼してもらわないと、撮られる方も『素』を出してくれないんです」。
 安珠さんは、子どもの頃、虚弱体質で入退院を繰り返していた。その経験が、自分の人生に与えた影響は大きい。「幼少期に病気をして死を感じたり、多少なりとも孤独の時間を味わったことのある人は、人をさびしくさせないようにしようとか、人を喜ばせたいとか、そんな思いが強いような気がします」。

2人で種まき
  「写真」という字は「真実を写す」と書く。
 「写真には目に見える事実しか写りませんが、でもその中に真実があるんです。それは形のないものですが、写ると思えば写る。撮り手の感情が写し込まれます。真実を写そうと思ってカメラを向けています。事実と真実を見極めながら、真実を伝えたいと思っています」。
 「この日この時、この一瞬を撮りたいと思っています。私は自分の心が震える写真だけを撮っていますが、自分の感じたことをしっかり表現すれば、見る側の想像力によって絶対伝わるものだと確信しています」。
 安珠さんとの、なによりの共通点は、「人に喜んでもらえることを、感情の種をまくつもりで活動している」ことだ。しだれ桜の下で、手を繋いで写真を撮った。
 お互いに「種まき」をして芽が出て花開く夢を抱きながら…。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


「元気のでてくる"ことばたち"」
(近代文芸社)
1,500円(税別)
おなじの腕まくり「おやじの腕まくり」
(JULA出版局)
1,400円(税別)
「言えなかったありがとう」
好評発売中

■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

* 俳画教室開講中
 ところ:常滑屋
 と き:月2回 第2、4金曜日 午後1時〜3時
 会 費:1回 2,250円(3ヶ月分前納制)
 問合せ:0569−35−0470

イネ・セイミ

 インディアンフルート教室開講しました。
誰でもすぐに吹けます
入会受付中!!

 講師 イネ・セイミ
《フルート奏者 指導歴30年》
1レッスン・1時間5,000円
(ティータイム付)

申込み・お問合せ
seimiine@oasis.ocn.ne.jp


 何か始めたいと思っている貴女へ。
数年後、素敵にフルートを奏でる姿が
そこにあります。
楽しく個人レッスン致します♪