海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
元気のでてくることばたち 村上信夫NHKアナウンサー

 会いたかった。奥田愛基(あき)さんに会いたくて、母校まで行った。安保関連法案に抗議の声をあげ、国会前で大規模な学生デモを牽引したSEALDsの活動が注目され、その中心的な役割を果たした奥田さんが明治学院大学の後輩だと知ったときは嬉しくなった。

愛が基本
 ひとことで言うと、好感の持てる青年だった。温厚で冷静な語り口。教条的なところなど、微塵もなかった。覚悟の上で動く「個」が社会を変えると信じている。ただし、自分と違う考えを排除したり、やみくもに異を唱えたりはしない。愛がなくてはならないと考えている。「愛が基本」、いい名前をつけてもらったものだ。
 1992年、福岡生まれ。奥田愛基という人間を創り上げた背景には、父の影響が大きい。父は三〇年近く、ホームレスの世話をしてきた。「朝起きると、知らない人が家にいて、新しい家族だよと紹介されました」と奥田さんは、苦笑する。
 牧師で、NPO法人の代表も務め、人のために生きているようなところがあった。「まるで男マザーテレサといっしょに暮らしているようなものですから、うっとうしいなと思うこともありましたよ(笑)」。
 中学でイジメにあい不登校になり、ネット検索で調べた沖縄の離島・鳩間島の中学へ、自らの意志で転校した。島根の全寮制の高校も自分で選んで決めた。明治学院大学入学後も、休学してカナダやアイルランドを旅して、同世代と、政治や平和を語り合った。
 人生の節目節目で考え続けてきた。「自分から積極的に考えたというより、時代的にこうならざるを得なかったという感じですね」。
 シールズの活動をするようになって、自分自身でも変わったと思うことがある。以前の自分は社会運動を一生懸命やっている人を、「賛成と反対の人がいるのに、一つの意見を主張し続けるのはどうだろう」と冷めた目で見ていた。「でも、そうやって評論家気どりでいても、現実には何の影響も与えないと気づいたんです。イエスという意見があると知った上で、自分はノーという意見を言おうと思ったんです」。

 それには勇気が必要だった。こんなことを言ったら、人にどう思われるだろうかと気にする自分がいた。でも、何かを言ったら批判を受けるのは当然だと考えたら気持ちが楽になり、ナイーブだった自分が少しタフになったような気がした。
 正解は一つじゃない。大事なのは、考えることだ。〇や×、あるいは△に意見が分かれたとしても、それぞれが考えるきっかけになればいい。原発や特定秘密保護法のことなど、それぞれ賛否両論あるが、世論調査の結果を見ると、現内閣の支持率は過半数に達していない。みんながみんな、いまのままでいいとは思っていない。でも真剣に考える人が少ないせいか、なんとなく進んでいっているのがいまの政治の状況だ。「投票率も低いし、政治的なセオリーでいくと、参加する人が少なくなると民主主義って劣化するんですよね」。
 とはいえ、いつもいつも政治のことばかり考えているわけではない。漫画のワンピースも読むしバイトにも行く。「日常生活ってシームレスなんですよ。ゼロか一〇〇かじゃなくて、ファッションやアニメのことを考えるのと並行して、政治のことを少し考える時間があってもいい。ずっと考えている必要はないけど、むしろ一〇〇%考えないというほうが不自然だと思います」。「僕らはまじめ一本やりじゃなかったから、ここまで活動も続けられたのだと思います。人生のすべてを賭けているわけじゃないし、授業の単位や就活も大事。デモの途中で『じゃあ僕、これからバイトなんで帰りまーす』と言えば、『おお、がんばって〜』とみんなで送り出しますから(笑)」。

デモンストレーション
 現代社会に息苦しさを感じる人が多いから、党派にこだわらないデモが広がったのかもしれない。デモのスタイルも、ラップを入れたり音楽を流したり、昔とは違う。アジテータ口調の「われわれは〜!」は禁句にした。「僕と君は違う人間で、考え方はみんな違うから、話すときは「僕、私、俺」の一人称にしようと決めたんです。演説っぽくすると上から目線に感じるから、普通に話そうと」。
 「デモ+学生+政治=ヤバい奴ら」みたいな見方をされたので、まずはそのイメージを変えたいと思ったのだ。みんなが参加しやすくするために、どんなものだったら受け入れられるかを考えた。
 まさにデモンストレーション。「伝える努力をしないと、受け取ってもらえません。僕自身はみんなの意見をまとめる調整役でした。法案に対する言葉一つとっても『廃案』か『修正』かで、意見が分かれます。違う意見をみんながどこまで許容できて、どんな方向にもっていくかという調整が必要でした」。
 去年9月、参議院特別委員会の公聴会での話は評判を呼んだ。「与党の議員の中でも葛藤している人はいたと思うので、政治家である前にたった一人の個であってほしいと訴えました。というのも、戦後七〇年、自民党は安保法制で個別的自衛権は認めてほしいが、集団的自衛権は認められないと言い続けてきたんです。当選回数の多い古参の自民党議員はそこをよくわかっているはずです。だから個に立ち返って、もう一度考えてほしいと思いました」結果的に党の方針で賛成せざるを得なかった人もいたと思うが、一人の個人として考えてほしいと訴えた。
 今年3月、大学を卒業したが、当面は、去年12月に結成した政策提言のシンクタンク「ReDEMOS(リデモス)」の活動が中心になりそうだ。代表理事として、立憲主義を擁護するリベラルな政治、自由な個人が相互に認め合うリスペクト政治、自由で民主的な社会を支える政策アイデアを刷新するリニューアル政治を掲げて活動していく。
 参議院選挙でも、名前を連呼したり、政党側の主張を言うだけではなく、有権者に伝わりやすいやり方や、双方向のコミュニケーションが大事だということを提案してみたいと思っている。しばらく、奥田愛基から目が離せない。

■村上信夫プロフィール
2001年から11年に渡り、『ラジオビタミン』や『鎌田實いのちの対話』など、NHKラジオの「声」として活躍。
現在は、全国を回り「嬉しい言葉の種まき」をしながら、文化放送『日曜はがんばらない』(毎週日曜10:00〜)、月刊『清流』連載対談〜ときめきトークなどで、新たな境地を開いている。大阪で『ことば磨き塾』主宰。
1953年、京都生まれ。
元NHKエグゼクティブアナウンサー。
これまで、『おはよう日本』『ニュース7 』『育児カレンダー』などを担当。著書に『嬉しいことばの種まき』『ことばのビタミン』(近代文藝社)『ラジオが好き!』(海竜社)など。趣味、将棋(二段)。

http://murakaminobuo.com


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■イネ・セイミプロフィール
フルート奏者として活躍中。俳画家。
絵画を幼少より日展画家の(故)川村行雄氏に師事。俳画を華道彩生会家元(故)村松一平氏に師事。俳画の描法をもとに、少女、猫等を独自のやさしいタッチで描いている。個展多数。

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