海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
 前回、山間部で谷川と書きましたが、宇和海に面した地域は、リヤス式海岸のために急な斜面が多く、そのために段々畑になっています。わが故郷は、ちょうど宇和海に流れる光満(みつま)川と太平洋に流れる四万十川の支流・三間(みま)川との分水山嶺です。光浦川上流に降った雨は一時間たらずで宇和海に、三間川に降った雨は広見(ひろみ)川、そして、四万十川にそそぎ、四・五日たって太平洋に流れ込みます。

 梅雨時には蛍が乱舞し、小さな谷川には、川海老が生息していました。昭和35年あたりから、稲やみかんの消毒液が流れ込んできたことや、棚田や広葉樹の野山に針葉樹の杉や桧が植林されたことなどから、小さな谷川の様相は一変したのです。また、子どもたちのライフスタイルも変わりました。学枚に、プールができ、次第に川で泳ぐ子が少なくなってきたのです。

 迷信といましめ

 梅雨時には、うなぎつりやどんこつりや螢狩りをしました。青梅をとって塩をつけて食べていました。
 「青梅の食べすぎや、梅雨明けまでに泳ぐと、赤痢になる」と言って、いましめ合っていたのです。梅雨が明けると、待ってましたと毎日のように泳いでいました。
 代々から遊び継がれた場所には、山岸の岩に子どもが入れるくらいの穴がありました。この穴に入ると出れなくなるとか、海まで続いているとか言って泳ぎの達者でない子は近寄らなかったのです。達者でも恐々とのぞくくらいでした。
 それぞれの部落にあった水遊び場には、それぞれの言い伝えがあって、よその水遊び場では泳ぐ気持ちにはなれませんでした。
 山間部の水は昼間は温かいのですが、午後3時くらいになると急に冷たくなるので、水遊びの時間は午後1時から3時までと、言われなくても守っていました。
 七夕(8月7日)すぎると、水は冷たくなるので入るのはやめです。入るものなら、「えんこ(空想の動物)につべ(尻)か、きも(肝)を抜かれるぞ」と言われたものです。このいましめがあるから、一人で入ることもしませんでした。