海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
子どもたちへのお土産(4)
 夏休みの終わり頃に南アルプスの北岳山頂をめざし、11月文化の日の連休には八ケ岳の赤岳(2,899m)をめざした登山をやっていました。もちろん、六月になると、毎日、教員住宅の四階の階段をリュックに約20sの砂を詰めて30分間位のトレーニングをしていました。そして、鈴鹿の山に入山して体力を付けたものです。
 今回の土産話は、赤岳をめざすために一夜を過ごした編笠山(2,534m)の観音平での話「星と霜柱」です。

 ピシピシという音と寒さで目が覚めたんだ。それは何の音かというとね、テントの内側が凍る音だったんだ。目を覚ましたら、どうだろう。黄色いテントが白く輝いているではないか。はっとして起き上がると、吐く息と寝袋から出る熱気でさっと今まで白かったテントが元の黄色になったんだ。
 その後、テントから出て空を見上げると、なんと星が覆いかぶさるように輝いているんだ。目の前の白樺の木にも星が落ちんばかりになっている。腰を抜かさんばかりだった。けど、思い出したのは、絵本「モチモチの木」(斎藤隆介作・滝平二郎絵)に出てくる豆太と、豆太が見た「ひがついたモチモチの木」をね。
 白樺の木を揺すってみたくなってゆっくりゆっくりと揺り始めると、枝に鈴なりになっている星がパラパラと落ち始めたんだ。意地悪な私は、もっともっと星を落としてやれと、もっともっと揺らしていったんだ…。
 山の朝は、早い。日が昇る前には、朝食をすませ、テントをリュックに詰めて山頂をめざして出発するんだ、凍てる冷たさに震えながら〜。朝食をすませているから、少しずつ背中の方から暖かくなってくる。でも、吐く息は白くて今にも凍って落ちそう。息する鼻や瞬きする目蓋もくっつきそうになる。
 どれほどか登った所に3段くらいの層で、60p位の高さになった霜柱があったんだ。とっさに思ったのはね、「この霜柱は昨夜、落ちた星たちの変身した姿なんだ…」と。