海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
 活動的で、性格もさっぱり、ざっくばらん、何でも話し、底抜けに明るく、よく笑う、賑やかな女性であった。常滑弁を交えて返す返事に親しみを感じさせる。
 まずは、「私、姓が変わりました」と、愛子さんからの挨拶があった。愛子さんは今春、再婚し、長野県塩尻市に籍を移した。「本業は『主婦業』のほうが向いているんです。ホントは家庭的な人間なんですヨ」と、嬉しそうに笑った。しばらくは塩尻と常滑を行き来する二重生活で超多忙だそうだ。
結婚と同時に山本愛子という名を改め、塩原愛子として作陶活動をしているが本人いわく、「でもね、困った事があるんですよ。山本愛子という名前を消してしまったから私が廃業したと誤解される事が多いんです。だから、今までよりもがんばっていますヨと書いといてネ」と頼まれた。強く、たくましく、幸福感に浸っているようだ。塩尻での生活を聞いてみた。「アトリエと窯を買っちゃったから、借金がすごいの。でも、『山の家』『海の家』って別荘感覚で結構楽しんでいます。塩尻では趣味で家庭菜園も始めた」と、言う。どこまでもパワフルで行動的な女性だ。
 おじゃまさせていただいた時、愛子さんは注文の作陶におわれていた。来年の干支である未、オブジェにもなる表札、猫の絵付けをした食器など、どの作品も温かみに満ち溢れ、愛嬌があり、作品の存在感がずばぬけている。彼女の作品を見れば、誰もが現実から離れてホッとしてしまう、何故か、不思議な魅力がある。じゃれ合っている猫、逆立ちする猫、とぼけた表情の猫に、思わず心が和む。
 「焼き物に適した環境が整っていて、常滑に居て焼き物をやらないのは損」という考えで始めた陶芸歴は17年、独立して15年が過ぎた。
 今後の目標を聞いてみた。「今、花の絵付けに凝っているんです」と絵付けを最も得意とする愛子さんらしい返事だ。鮮やかなブルーのモダンな花は上品な仕上がりとなっている。今までの個性の強い猫とは違い、結婚を機に彼女の中の理想的な女性像を可愛らしく、やさしく、かけがえのない幸せのかたちとして、器の中で表現しているかのように思われる。
(赤井伸衣)