海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
陶芸家 中塚奈美さん 陶芸家 中塚奈美さん ちょっとおじゃまします
 私の質問に「ほんまにネ」「ちゃうちゃう」と、関西弁で話してくれる。彼女の出身は関西だから、自然と関西弁が出てしまうのも無理のないことだ。それが、私には何んだか嬉しかったりもする。
 陶芸を始めて3年。始めたきっかけを聞けば、ご主人からの助言だという。「ただのおばさんになっちゃうぞ!!」の言葉に、彼女の出した結論が陶芸だった。まずは、趣味でもある生け花の花器を作った。生けやすく、花器がわき役であり、可愛らしい花たちの共演に思わず微笑んでしまったと、当時を振り返る。花器とは別に、趣向の違った作品を拝見させてもらった。ランプシェードだ。長方形の破片を思いつくままに、気ままに積み上げたランプシェードは、ちょっとした芸術品だ。創造をかきたて、文化を感じさせる。中世の建造物を想像させる。そして、彼女の自信作を見せてもらった。意外にも地味だった。白化粧をした面取り模様のコーヒーカップだ。シンプルで真っ白のカップ、柔らかく、心を和ませてくれる優雅なカップは、日々の暮らしにひとつ加えたい。「気軽に使ってほしい」−そんな思いが彼女の作陶の原点だという。
 「陶芸を始めて、腕が太くなった。でも、おなかの肉は取れない」と、はにかみがちの笑顔で照れくさそうに話してくれる。
 彼女は工房の大きなガラス窓から眺める風景が好きだと、いう。黒く塗られた工場の壁、レンガ造りの煙突と、イメージが膨らむ。そこは、明るく開放感に満ちている。ふっと車を停めて、ゆっくり散策したくなる。長居をして、存分楽しみたいロケーションだ。
 将来の夢を聞いてみた。「夢でいいんでしょう」と、何度も念を押され、「六甲山(神戸)の山頂に工房を建てること」と、返ってきた。無茶な話のようだが、久しぶりに元気のある人に出逢ったような気がする。
(赤井伸衣)