海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
陶芸家 松下涼さん 陶芸家 松下涼さん ちょっとおじゃまします
 新進気鋭の若き陶芸家が誕生した。ちょっと、いたずらをしてみたいと思わせるジャニーズ系の甘いマスクが、とっても印象に残るその人とは、いずれ五代目を継ぐと思われる窯屋の息子さん・松下涼さんである。私が訪ねたその日は、初個展を二週間後に控え、作陶に没頭していた。そして、初個展を心待ちにしていた。
 彼には忘れられない、風景がある。ぶらりと旅に出た先はスペイン。独特の開放感と斬新な建築物が立ち並ぶ。旅先で得たちょっとした発想のヒントから、今回の初個展のテーマが生まれた。
 誰にも邪魔されず、お気に入りのものを作る。自分だけの世界、アイデンティティーを表現する。攻撃的な存在感を示すザリガニであったり、くるまって力を蓄え手ぐすねをひくミノ虫であったりと、心の片隅にそうありたいと願っている。発表する作品は、「オレっぽさ」という自己自身を土で表現したというオブジェばかり。彼の複雑で繊細、洗練された豊かな感性は飾り気のないシンプルな表現だけに、焼き物に精通した人を満足させるであろう作品の仕上がりとなっている。
 自宅に工房を構え、息抜きの遊びはボーリング、カラオケ、ビリヤード、ダーツという。いたって素直に答えてくれる。まだまだ可愛い22歳の青年であった。

(赤井伸衣)