海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 5人の若手陶芸家が腕を磨く共同工房がある。師走の訪れなのだろうか、工房内はちょっぴり肌寒く感じられる。この5人の中で最も快活、ムードメーカー、面白い…という女性がいる。生まれも育ちも常滑。中学生の時のロクロ体験がきっかけで、いつか、ロクロを自由自在にひきたいと思ったそうだ。本格的に始めて4年。イメージした物に近い物は作れるようになった。
 彼女の手がける作品は、愉快だ。胞子によって増殖するキノコに魅せられ、キノコのオブジェに現在、凝っている。
 今年は、初個展も経験した。ギャラリーのオーナーからの「個展をやってみないか」という、大抜擢の声に挑戦した。恐る恐る臨んだ個展は、彼女にとって多くの課題を残した苦い出発となってしまった。初個展のために手がけた作品は、約100点。自分なりに存分に発揮したと思えた作品だった。しかし、不発に終わり、「もっと、多くの人に見てもらいたかった」と、不満を漏らした。「でも、不満は自分が作ったのだから、自分で解決!!」と、明るく言い放ち、ロクロをひき始 めた。彼女のロクロをひく姿が吸い込まれそうに美しかった。
 今後は「大きなところで、大きなものを見せられる陶芸家になりたい」と、抱負を話してくれた。当分、大きな夢に向かって、陶芸に没頭する日々を過ごすのかなぁ…と思う私に、彼女は「でも、家庭も持ちたいんだよね」と、可愛い本音も覗かせた。彼女なら、陶芸家としても、家庭を持っても、カッコイイ生き方をするんじゃないかなぁ…と、眩しく思えた。
 彼女を癒してくれるのは、写真撮影。被写体は彼女ではなく、自然という。自然を相手に、季節を先取りする思わぬ写真に出会うことも、しばしばあるという。
(赤井伸衣)