海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 定年のない仕事を見つけよう!!そう思った瞬間から会社を辞めた。実家は陶器の絵付けをしていた。高校の恩師である小出芳弘さんから常滑市立陶芸研究所を紹介され、1年間通った。朝から夜まで焼き物の生活は、実に楽しかった。これが私の好きな仕事と思い、腕を磨いた。講師は息抜きを上手に楽しんでいる水上勝夫先生他四名である。五名の講師とはじめて出会い、土と向き合った瞬間から強烈なオーラが全身からあふれ出し、その講師の技術から土のもっている無限の広がりを感じたという。
 彼女の手がける器やカップは、どれも灰釉の渋さだけが目立ってしまう。渋い作品と実年齢は、どうも不釣合い。どこか渋さを感じてしまう。そんな私の疑問に彼女は、高校の恩師の影響だという。恩師は、平安・鎌倉時代の古常滑の再現に力を注いでいた。その灰釉の渋さが好きで、落ちつくという。でも最近は、洋服であったり、焼き物であったりと、明るいものが好きになってきたという。楽しく感じたもの、遊び心のあるもの、暖色も使ってみたい、絵付けの九谷焼きも好きだなぁ…と、作陶意欲は高まっている。私の記憶の中にいる彼女とは全く違う彼女の作品が、きっと今後作り出されることだろう。
 数年前に彼女が描いた人生の設計図は、順調に進んでいる。強さも優しさも歳を重ねて、ついてきた。楽しいことも、笑ったことも、泣いたことも、今までの彼女の人生が灰釉の渋い器にぎゅっと凝縮されたのではと、取材を終えた私の頭の中で交錯している。
 6月16日から21日まで、ノリタケの森ギャラリーで個展を開く予定だ。個展は、次の仕事に向かうきっかけになるからという。
(赤井伸衣)