海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 料理好きの母の料理を盛り付ける皿をイメージすることが好きだった。「こうなりたい」と、10代で描いた人生設計図に素直にまい進したかった。やっぱり、陶芸が好きだった。そう思い立った20年4月、常滑市立陶芸研究所に入所した。
 講師は面白くて、優しくて、穏やかで、拍子抜けするほど毎日を明るく楽しんでいる。生徒に慕われる谷川仁先生はじめ、谷川勝明先生、水上勝夫先生、杉江幸治先生、杉江明美先生と総勢たる講師陣だ。彼女は、「誰からも信頼される先生が全員好き」という。その中でも谷川仁先生が手がける作品は全てが使いやすく、機能性に優れているといい、谷川仁先生が目標だという。
 彼女は、黒の釉薬に結晶釉を施した作品を手がける。黒が大好きで研究所では、黒の釉薬の勉強をしていたという。今も試行錯誤の毎日だという。納得する黒を出すには、まだまだ時間がかかりそうだが、黒のバリエーションを試す毎日が楽しくて仕方がないようだ。その黒も仲間からは、「発想が変」「気持ち悪い」「怖い」と、言われる始末だ。そんな仲間からの言葉にひるむことなく、「どこかしら、バランスのおかしなものに惹かれる」「癖のあるものが好きだ」「きれいなんだけれど、毒のあるものが好きだ」と、確固たる自信、確信があるから言い切れる返事なのだろう。
 待ち合わせた喫茶店でスタイルの良さが際立つ彼女に、モデルのようなスマートさを感じた。打ち解けていくと、感性の面白い人だと気づいた。彼女の本格的な陶芸家としての幕開けが今、始まった。
(赤井伸衣)