海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 どうしようもなく、どうしてもほかっておけないのだろう。彼にはおばちゃんと慕う女性がいる。おばちゃんは、幾度となく彼にアドバイスをする。そのおばちゃんからのアドバイスに、彼は夢心地なのだろうか。時折見せるいたずらっぽい目が、のんびりと自分の未来像を思い描いているのだろうか。彼の日常には、真剣さに欠けているような気さえもする。
 この取材は、彼をおばちゃんに紹介していただき、3時間後に彼が名古屋から常滑まで来てくれた。そんな彼のフットワークの軽さも作品に反映できたら、もっともっといい作品ができるのではないかとも、思ってしまう。いつしか彼への取材は、おばちゃんと陶芸仲間を交えての座談会と説教・アドバイスとなってしまった。困ったことに、彼への質問も彼に代って陶芸仲間が答えてくれる始末だ。「苦労しなさい」「もう少し惹かれるところがあってもいい」「もっと思いを込めて作ること」と、おばちゃんからの手荒い説教・アドバイスが始まった。寡黙な彼にとったら、この時間はとてもとても長く居心地の悪い時間だったに違いない。
 しかし、これらおばちゃんからの言葉が彼の新たな一面を引き出してくれる時がくるのであろう。おばちゃんは、彼の成長を見守るのが楽しみのようだ。
 陶芸は学生の頃にカルチャースクールに通ったことがきっかけで、大学卒業後は兵庫県丹波で4年半弟子入りし、本格的に覚えた。人とふれるよりも、土が好きという。何よりも土が大好きだ。日常は好きな風景を目にしたり、目的のないドライブをして土を掘ってくるという。土作りや釉薬作りには妥協を許さないともいう。陶芸仲間は、「土、釉薬のことはよく知っている」「人としゃべらなすぎ!!」という。
 目標は一人前の陶芸家になること。陶芸だけで生計を立てること。
 趣味は登山。
(赤井伸衣)