海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 長年にわたり、緑泥の藻掛け釉の美しさを追求し続けている人がいる。その人とは、三代 片山白山さんだ。白山さんの祖父は常滑に陶房を開き、父は伝統工芸士として活躍した人である。白山さんは父に作陶を習い、数多くの受賞歴をもち、現在は日本煎茶工芸協会正会員、また常滑「手造り急須」の会会員として活躍をしている。小学校を訪問し、小学生に美味しい煎茶の入れ方を教える活動もしている。
 今や緑泥の急須で注目を集める白山さんだが、緑泥を始めたきっかけは、父と違うものがやりたかったという、いたってシンプルな理由だった。深い緑色が特徴の一品だ。白山さんとお会いしたのは10月半ば。季節は、もうすっかり秋になっていた。私は秋風に何となく人恋しさを感じてしまったのか、肌寒さを感じてしまったのか、この深い緑色が心なしか寂しく感じてしまった。そんな私の心を察してか否か、最高の煎茶のおもてなしで迎えてくれた。やっぱり、お茶は美味しい。純粋にそう思った。日本の美しい文化だなぁーと、気持ちを柔らかくして、白山さんの感性を研ぎ澄し、感慨深くいただいた。
 白山さんの手がける藻掛け釉の藻は、常滑の海から集められる。常滑の風景が思い出され、常滑の空気をも感じさせる。そんな気持ちになれる。それが、白山さんの緑泥の急須なのかもしれない。
 白山さんは急須の他にも、カップや食器などの日用雑貨も手がけている。常にボリューム感と伸びやかさを求めている。うまくいかないところが、また面白いという。こんな人物の白山さんを作家仲間からは、「よう、わからん」といわれる。私も「よう、わからん」白山さんという印象をもってしまった。「よう、わからん」といわれる人物が、実は一番面白いのかもしれないが……。
 大好きなことは、常滑の春の祭りを楽しむことだと話す。
(赤井伸衣)