海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 工房に入ると「どうぞご覧ください」と言わんばかりの急須が出迎えてくれる。急須の隣りには、1メートル弱と思われる朱泥の大きな花瓶が3つ並べられている。仲間は前川さんを「急須屋さんらしくない大物を作る人」という。
 30数年ほど前に焼きものを始めた前川さんは、急須作りの面白さに目覚め、5年の修行ののち独立し、自己流で挑戦を始めた。「当時、焼きものはよく儲かった」と、前川さんはニヤリとする。前川さんが急須職人として徹底的にこだわっていることは、見た目のバランス、持った時のバランスと使った時のバランスの良さという。テーマは、いかにして軽い急須を作るのか。急須は朱泥を主体に焼き方を変えている。
 いかにして軽い急須を作るのかをテーマにどんな時もファンを夢中にさせ続けてきた。近ごろは若者が興味を示してくれることを急須職人としての喜びをもって静かに語ってくれた。
 前川さんはマイペースな人だ。前川さんは自身を根が臆病という。世の中、そんなにマイペースでは生きていけないと、思ってしまう。でも、前川さんのような人は結局、何事にも動じることなく強く、最終的には前向きな思考で生きていける人なんだろうなぁ。前川さんを見ていて、背伸びするよりも、自分らしく生きているほうがカッコいいと思う人もいるはず。私がおじゃました時も、前川さんの頭の中は週末に行われるお祭りのことでいっぱいだった。そのため、私の用件はさっさと切り上げられてしまった。
 これからものんびりとお客さんの要望に応えていけたら……。ここ常滑を基盤に、少しでも社会的に貢献できたらと、前川さんは思っている。
 7月29日(金)〜8月11日(木)ギャラリー方円館で2人展を予定している。
(赤井伸衣)