海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 自分は本当に欠点だらけ…… と、八木さんは謙遜していう。八木さんは友人に、将来のビジョンが見えてこないと言われる。それは一理あると思う。今まで、何となく生きてきた。これといって、やりたいこともなかった。見つけられなかった。ただ、趣味の草野球だけは続けていた。
 ぶらっと出掛けた常滑で、とあるイケメン気鋭若手陶芸家に出合った。彼との会話の中に仕事に対する姿勢や日々の行いなど、全てに大きな感銘を受けた。今までの気迷いが嘘のようになくなり、彼に背中を押してもらった。そして、やりたいことが見つかった。それは陶芸だった。以前から陶芸は好きだったが、彼との出合いによって、本格的に始めることとなった。行動は早かった。即、工房を構え、平日は会社勤め、休日は陶芸活動をし、現在は二足の草鞋状態となっている。この生活をいつまでも続けようとは思っていないという。近い将来、陶芸家として生計を立てていくつもりだ。
 八木さんは、粉引の完全な白ではない白に心酔している。白と黒が好きだと話す。粉引の細かなひびや小さな気泡の美しさ、白化粧と鉄分の黒が混じった色合いの雰囲気は美しいという。そして、使い込めば白化粧が柔らかな色彩へと変化していく。粉引は使い込まれれば使い込まれる程に、その人の人生のように、その歴史を刻んでいく。そんな粉引が、とても愛おしいという。
 陶芸を始めて、関係者と知り合うことも多くなった。初めての個展も決まったと、目を輝かせる。自分の手で作り上げることが、最高の喜びだという。八木さんの作るポットは時代の空気を嗅ぎ取り、呼吸しているかのようだ。そのポットはオーガニックに興味のある女性に人気という。
 そして、八木さんにはうらやましく思える長所がひとつあることに気づいた。それは、うんちくを語り始めたら、止まらないこと。好奇心いっぱいで教えてくれる。知的でユーモアな人だ。
(赤井伸衣)