海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 バリ島の友人宅の窓から覗く景色は開放的。友人が暮らすバリ島はのんびりとしていて、海からの風は心地いい。この友人との出逢いで鈴さんはインドネシアに感心を引くことになる。友人とは馬が合い、気が置けない仲となった。もう、25年の付き合いになる。
 友人にインドネシアの文化や芸術を教えてもらった。その一つ、インドネシアのろうけつ染めの布地の「バティック」は、その図案の美しさが気に入った。次に、さまざまな銅鑼や鍵盤打楽器による合奏のガムラン音楽は、即興的に奏でられるパフォーマンスがすぐに気に入った。もう一つ、神様に奉納する踊りといわれる、バリ舞踊は一瞬で心を奪われてしまった。人目を引く衣装も化粧も華やかで美しい。バリ舞踊の美しさと感情は鈴さんにとって特別なものだった。踊っていると、次第に透明になってきて、自分が無になれるという。今でも、定期的にイベントなどでバリ無踊を披露している。大好きなインドネシアに携われることが楽しいと、いう。
 鈴さんは30年前、骨董市でバティックと出合う。もう、二度と出会えないかもしれないと思い、引き寄せられるままに購入した。柄はジャワ島の王族の紋章だった。
 華やかな色使いで染められたバティックは、人の心を打つものがたくさんある。美しく滑らかな曲線で描かれた花、蝶、鳥、舟、刀剣などの模様は、地方によって柄も色使いも違う。そして、時に1枚のバティックが1枚の絵画のように見える。この1枚に託した職人の思いに感動を覚えると、鈴さんは話す。今、鈴さんはその思いを知ってもらいたく、バティックを仲間に広めている。
 バティックで作った洋服をさらりと着てしまう友人もいる。バティックが好きでクローゼットにずらっと並べている友人もいる。素敵と思うものは必ず理由があるから、一人でもバティックの美しさを知ってくれると嬉しい。「バティックも大好き、バリ舞踊も大好き、でも、やっぱりインドネシアそのものが大好きなんだ」と、鈴さんは話す。
 鈴さんは自分のことを行き当たりばったりな人生という。私は、そんな鈴さんの退屈じゃない人生に面白さを感じている。
(赤井伸衣)