海外の旅この指とまれちょっとおじゃまします元気のでてくることばたち
ちょっとおじゃまします
 知人と居合わせたことが縁で、佐野さんと出会った。凛とした女性は自彊術の講師を務めている。佐野さんは冷えが原因のむちうちになったことがきっかけで自彊術を始めて33年。教室をもつようになって29年。活動は口コミだけれど、生徒はとぎれることがない。
 何だか聞き慣れない『じきょうじゅつ』という言葉。「『じきょうじゅつ』は漢字で書くと『自彊術』という字なの。自彊術は道具もいらない。畳一畳のところで出来るところがいいのよ。自分の体を強くするわよ」と、隣で話す佐野さんにどこか反応が鈍い私。体は動かさなきゃぁと、思っているものの、最初の一歩が踏み出せないでいる私。こういう機会でもなければ出掛けないだろうと思い、自彊術なるものを体験してみた。とある金曜日の午前10 時大野南集合場。教室には40代〜90代の男女20名程が、拍子抜けするほどの明るさと軽快さで体操をしている。年齢を感じさせない体の柔らかさに、ただただ圧倒されるばかり…。そして、すぐさま、そのすっきりとした体のラインに私の視線は釘付け。表情も生き生きとしている。対して、この体操を体験した私はというと、テンポも悪いし、リズム感に欠ける始末。ふと鏡に映った自分が凛としていて、軽快だったらカッコいいだろうなぁ。生徒の86歳の女性を眺めながら健康でありたいというビジョンを持つことがこの表情につながっていくのだろうなぁと、思った。そして、この体操はあくまでもマイペースで自分からやる気を出して努めることと、ある。ちょっとした肩張り感の緊張が解ける言葉に私の関心は一層高まっている。好奇心をもつことも大切だなぁと、人生の先輩方を見て感じたのも事実だった。
 自彊術の目的は、万病克服の健康体操として始まった。手技療法の天才、中井房五郎氏による創案。1916年のことだった。戦争により、普及が途絶えていたが、その後2人の医学博士らにより、再び世に広められた。自己免疫力や自己治癒力を高め、高齢化が進む日本において、健康で豊かな社会形成に大きく貢献している。現在、約60支部、約4000教室、約55000人の会員がいる。
(赤井伸衣)